暗号通貨(暗号資産)がマネーロンダリングに向かない理由

「暗号通貨はマネーロンダリングに使われるから危険」ということをよく耳にしますが、暗号通貨はマネーロンダリングに向きません。その点を詳しく解説します。

マネーロンダリングとは

マネーロンダリング(資金洗浄)とは、麻薬取引や脱税などの犯罪で得た「ブラックマネー」を、架空の取引をいくつも行うことで出所が分からなくなるようにする行為のことです。

マネーロンダリングの手口は複数ありますが、海外各国にペーパーカンパニーを複数設立し、その間で取引を行う方法が主流です。このほかにも馬券購入やカジノ利用、金塊や換金性の高い絵画などの商品の購入にあて、その払い戻しや商品の売却をする方法もあります。

マネーロンダリングの手法は多岐にわたり、また常に新しい方法が開発されるので、国際機関である「マネーロンダリングに関する金融活動作業部会(FATF)」は、マネーロンダリングによるテロリスト資金の調達を防止すべ<世界中の金融機関に働きかけていますが、対策しきれていないのが現状です。


本人確認を徹底

ビットコインの場合はどうでしょうか。個人間での取引が可能なので、ブラックマネーでビットコインを買って、それをさらに売却すれば簡単にマネーロンダリングができそうです。

ところが、マネーロンダリングでは億単位の資金が動くことが少なくないため、高額の取引を行うために取引所を介す必要があります。日本では取引所は登録制となっており、犯罪収益移転防止法(犯収法)に墓づく厳格な本人確認が徹底されています。

免許証やパスポートなどの公的書類による本人証明に加え、住居への郵送確認による居住地証明が必須です。また、取引所は疑わしい取引についての報告も求められるため、顧客による取引所への入出金記録、および仮想通貨売買の記録をすべて保管しています。

これにより、暗号通貨の購入を通じてマネーロンダリングを行う場合、後述するブロックチエーンの透明性もあり、資金の出どころと行き先は取引所を通じて、すべて筒抜けになります。


ビットコインは常に記録が残る

ビットコインはブロックチェーンを通じてすべての取引が全世界に公開されます。例えば最近、BTC-eというスロベニアの取引所がマネーロンダリングにかかわっていたとしてアメリカの捜査当局が立件、逮捕に至りました。

注目すべきはアメリカ当局がビットコインの取引履歴を元に捜査を進めていた点です。というのも、2013年に破綻したマウントゴックスから、ある時点で特定のアドレスに大量のビットコインが送金されており、その一部がBTC-eに流れていることが当時より分かっていました。

BTC-eには顧客に対して送金するホットウォレットと、顧客が預け入れるコールドウオレットがありましたが、これとは別にBTC-e運営者のものと見られる内部的なウオレットから、出金用のホットウオレットに対して怪しい取引が行われていたことも確認されています。どのような取引履歴であっても全世界に公開されるのは、暗号通貨ならではの特徴です。

1匿名性の高さは現金が一番?

決済手段は、誰がどのような取引で使ったのかが分かりにくいほどマネーロンダリングに向いているといえます。現金は決済時に記名の必要がなく、またどのお金がいつ取引に使われたかの履歴も残りません。ビットコインは記名の必要がありませんが、その代わりに取引がすべて公開されています。

2キャッシュレス化は偽札対策にもなる

2016年11月に、インドで高額紙幣の廃止が急きょ実施されたことが話題となりました。当時はかなりの混乱がありましたが、その背景にはブラックマネーの撲滅を目指す狙いもあったようです。インドでは偽札も多く出回っており、高額紙幣を一掃したことでキャッシュレス化の推進と同時に、ブラックマネーの行き場がなくなったというわけです。

3銀行取引の6倍安全?

イギリス財務省は2015年に、マネーロンダリングに関する国家リスクアセスメント(NRA)を公開し、ビットコインが銀行取引の6倍安全と結論付けました。NRAではMoRiLEと呼ばれる手法を用いて銀行や資金決済サービス、賭博、現金、暗号通貨など12項目にわたる決済手段について、取引の透明性や流動性、構造リスク、市場規模を加味して分析しました。最も低リスクなのはビットコイン、最も高リスクなのは銀行という結果になりました。

4ビットコインの取引を解析する専門機関もある

警察が疑わしい取引の履歴の送金先や元アドレスなどの情報を入手しても、それを正しく解析できなければ意味がありません。海外ではChainalysisという専門機関がビットコイン取引の解析ツールを提供しており、政府や警察などの間で利用されています。

5ビットコインはマネーロンダリングに使えない

ビツトコインでの取引はすべて公開されているため、送金元から途中の経路、最終的に到達したアドレスまで完全に追跡できます。もし不自然な取引があれば、すぐに警察当局のチェックが入ります。ビットコインはほかの決済方法と比べてマネーロンダリングに向いていないといえるでしょう。

日本でもビットコインのマネーロンダリング事件があった
国内でも2017年1月にビツトコインを使ったマネーロンダリング行為で2人の容疑者が追送検される事件がありました。この事件は、国内では初めてのビットコインを使用したマネーロンダリング事件として話題になりました。手口としては、他人名義のクレジットカードで国内の取引所からビットコインを買いそれを海外の複数の取引所に移して洗浄を行い、国内の取引所に戻して日本円に戻したというものでした。

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