2017年11月「ビットコイン分裂騒動」について知る

2017年8月の分裂騒動が原因

ビットコインが2017年11月に分裂するかどうか騒動になっている発端は、8月の分裂騒動が元になっています。8月に「ビットコインの帳簿であるブロックサイズを大きくする」派と、「Segwitを実装する」派の間で議論が起こり、その結果「いったんSegwitを実装してその後ブロックサイズを大きくする」という妥協案が採択されました。

この妥協案は「Segwit2x」と呼ばれ、8月は結果的にその案により大きな問題が起こる事は免れて騒動は終結を見せました。しかし、Segwit2xはその後ブロックサイズを大きくするものであるため、11月に再度分裂騒動が起きているのです。騒動を理解するために、両派の意見を知っておく必要があります。

ビッグブロック派

  • 主にマイナーを中心とした中国勢のグループ

ビッグブロックを進めるのはマイナーを中心とした組織です。ピッグブロックを進めたい理由には主に「手数料の取得」「ASICBOOST排除の防止」「利権」の三つです。ブロックサイズが大きくなれば、手数料が多く手に入るようになります。

ブロックに入れられた取引データの手数料がマイナーに渡されるので、より多くの取引データが入るビッグブロックはメリットがあります。「ASICBOOST」は演算の計算コストを2~3割節約できるマイニングの手法です。

一部のマイナーが導入していると言われ、ビットコインコア開発者がそのASICBOOSTを排除する機能をビットコインに導入しようとしている動きがあります。当然、ASICBOOSTで優位性を持つマイナーにとってはデメリットであるため、これに反対しているのです。

ビットコインのマイナーには、ビットコインを自分の物にしようとする動きが見えます。ビッグブロックサイズがよければ、既にハードフォークしたビットコインキャッシュがありますが、オリジナルビットコインを意のままにしたいという思惑がSegwit2xにはあると推測します。

Segwit派

  • 主にビットコインコア開発者や取引所

実は、ビットコインは以前ブロックサイズを32MBから現在の1MBへ変更した経緯があります。これは主に攻撃へのセキュリティ向上が目的でした。そのため、ビットコインコア開発者はブロックサイズ拡大には賛同しないのです。

ブロックサイズを拡大するのではなく、取引処理を効率化することでビットコインの機能向上をはかり、それで問題の解決を試みようとしています。それがSegwit派です。

ニューヨーク協定によるSegwit2x

Segwit2xは、ニューヨークで行われた調印(ニューヨーク協定)を元に始まっています。これには中国の大手マイナーグループやビットコイン取引所、ウォレット事業者が参加しました。

Segwit2x推進者およびビッグブロック派は、利益を追求する事業者の思惑が強く、ビットコインそのものの機能向上よりも、各社の思惑(利益追求)で合意が行われた背景があります。

なお、ニューヨーク協定を先導したのはアメリカのDigital Currency Group(DCG)という企業で、その企業の出資を受けている事業者は合意しています。ただし、ビットコインのビッグブロックは、必ずしもビットコインを害する実装とは言い切れません。

ビッグブロックにすることで取引データが多く入り、取引処理能力は向上します。セキュリティに関する懸念も、攻撃に耐えうるかどうかは実装しないと分からない部分もあるからです。

Segwit2xの「リプレイアタック保護」問題

ビッグブロックがそのままセキュリティ上の弱点になるかは明確ではありませんが、Segwit2xには一つ明確なセキュリティ上の問題があります。それは「リプレイアタック」という攻撃を防ぐ仕組みが、完全な形では実装されていないことです。

リプレイアタックとは、ハードフォークして異なる取引台帳に分かれた場合、片方で有効なトランザクションがもう片方でも有効になることを悪用して、送金者の意図しない送金を行う行為です。

Segwit2xのビットコインにも、リプレイアタック保護(プロテクション)は実装されるのですが、完壁なものではありません。完壁なリプレイアタック保護は、オリジナルビットコインのみを送金する者に対し、Segwit2xビットコインのブロックチェーンでは送金されたことにならない(逆も同じ)という対策が施されます。

しかしSegwit2xのリプレイアタック保護は「オプトイン」と言われ、オリジナルビットコインのみ送金する場合は、一定の金額のビットコインを支払うことで、「Segwit2xビットコインを送信していないことを証明する必要があります。

つまり、送金者がオリジナルビットコインのみ送金していると明示的に意思表示しないと、リプレイアタックが可能になってしまう仕組みになっているのです。

ビットコインコア開発者の排除が目的?

ビッグブロックや、不完全なリプレイアタック保護の実装は、ビットコインコア開発者を排除するためと言われています。Segwit2xにはビットコイン取引所やウォレットサービスも賛同しています。

事業者がリプレイアタック保護を実装しなければ、取引所やウォレットサービスを利用する一般ユーザーもSegwit2xビットコインを本物のビットコインとして利用するようになる可能性があります。

Segwit2xの先行きは不透明…

2017年10月6日(日本時間)にビットコインの非営利団体等が運営するサイト「Bitcoin.org」がSegwit2xを非難する声明を発表しました。声明によれば、Bitcoin.orgはSegwit2x賛同者へユーザーのリスク低減を公式に発表することを求め、オリジナルビットコインとSegwit2xビットコインは別に取り扱うよう求めています。

この声明の後に、香港の取引所「Bitfinex」が「いかなるハードフォーク(分裂)も支持しないこと」「Segwit2xビットコインをB2Xとすること(つまりオリジナルビットコインBTCを正式なビットコインとすること)」を発表しました。

また、Segwit2xに賛同している、BitLicense取得事業者であるアメリカの取引所「Coinbase」は、両者のビットコインを顧客が安全にアクセスできるようにすると発表しています。さらに、Coinbase社は「最も難易度が蓄積されたチェーンをビットコインと呼ぶ」と宣言しています。

「最も難易度が蓄積された」というのは、「マイニングのパワーが最も大きい」ことを示しています。ビットコインのマイニングでは、利用されるパワーが高いほどマイニング難易度(difficulty)が上昇します。

つまり、Segwit2x導入後に、どちらのビットコインのブロックチェーンにマイニングが集中するかを見て、正当なビットコインを決める、ということです。さらに2017年10月12日、大手マイニンググループ「F2Pool」が、Segwit2x賛成シグナルを取り下げました。

これにより、現在ビットコインの約25%のマイニングパワーを持つマイニンググループが、Segwit2xの反対に回ったことになります。このように、当初は受け入れられたかに見えたSegwit2xですが、徐々に反対(ビットコインヘの取り込みを認めない)勢力が伸びてきています。

分裂、信用下落は不可避?

ビットコインの分裂騒動は2転3転してきた歴史があります。それぞれの立ち位置によってビットコインの方向性を決めたい思惑はありますが、一方で騒動によってユーザーが離れ、ビットコインが弱体化することは、ビットコインに関わる誰もが避けたいと考えています。

リプレイアタック保護に関しても、ビットコインコア開発者を排除することに関しても、ビットコインが信用を失うことに比べたら、比較にならないほど小さな問題です。状況は流動的で、ビットコインが今後どのように変化するかは断言できません。情報収集を密にして、慎重に判断して行く必要があります。

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