ビットコインと現金、ビットコインにしかできないこと

ビットコインと現金
ビットコインはデジタル通貨で現金のように利用できます。ビットコイン決済は、現在はまだ手数料かかるのが一般的です。その点が現金よりも不便です。しかし、手数料不要で送金・受け取りできるビットコイン決済サービスも、現在開発中です(ただしまだ世界中で多くの人が利用するようなシステムは確立されていせん)。今後、ビットコインが普及していけば、手数料不要で個人対個人でビットコインをやり取りをすることができるようになる可能性は大いにあります。

主な違いは「発行主体」と「発行上限」

皆さんが普段使っている円やドルなどの通貨と仮想通貨の違いは何でしょうか。特徴的な点は2点です。まず、発行主体の有無です。今までの通貨は「発行主体」が存在しました。たとえば、皆さんが普段使っている1万円札には「日本
銀行」券と書いてあるので、発行主体が日本銀行になります。

このように発行主体があり、金銭債務の弁済手段として用いる法的効力のある通貨を法定通貨と呼びます。円なら日本銀行、そのほかの国ならそれぞれの国の中央銀行が発行主体となり、その信用のもとに通貨としての価値が維持されていました。

しかし、ビットコインの場合、このような発行主体は存在しません。2009年に運用開始して以降、コミュニティなどの助けを必要とすることはありましたが基本的には「特定の主体の管理下」に置かれず動き続けています。次に、発行上限の違いが挙げられます。

法定通貨の場合、発行上限がないので、多くの紙幣を発行することが理論上可能です。一般的に多くの紙幣を発行すればするほど、その紙幣の価値は相対的に下がり、インフレを起こす可能性があります。現にジンバブエでは2000年からの7年間で、通貨供給量が約130万倍に達し強烈なインフレを引き起こしました。

この点、ビットコインの場合、発行上限があらかじめ約2,100万BTCと決まっていますので、中央銀行などの金融政策などに左右されないエコシステムの構築が可能になります。もちろん、ビットコインは法定通貨との交換価格が乱高下することもしばしばあるので、その点には注意が必要です。

ビットコインにしかできないこと

ネット技術の向上とサービスの普及により、ビットコインの「デジタル通貨」という特性は、それだけではあまり革新的ではなくなってきています。もちろん、中央管理者不在のメリットは、ビットコイン(暗号通貨)にしかない特長です。しかし、中央管理者不在という特長は、利用者の利便性とは必ずしも直結しないため、それだけで一般に普及するかというのは疑問です。

それでは、ネット決済とビットコインの違いは何なのでしょう。ユーザーが受ける機能やサービスにはあまり違いはありませんが、「中央管理不在」というシステムが大きく異なります。そして、それからユーザーが得るメリットは少なくありません。

銀行口座や金融機関を利用できない人は、世界の約錦%を占めていると言われます。一方で、ビットコインは世界中の人々に対して平等に口座(ビットコインアドレス)を与えます。インターネット環境さえあれば、ユーザーは平等に誰でも簡単に口座を作成できるのです。

既存の金融システムでは「中央」がなくなることはありません。既存の金融システムがブロックチェーンを活用するニュースが毎日のように報じられますが、それはコスト削減のためであって、中央管理者が不在になるわけではありません。

「ユーザーにとっては、管理者がいるかどうかは関係ないのでは」そう感じる人もいるでしょう。しかし、管理者不在のメリットは、当然ユーザーにもあります。最も大きなメリットはユーザーが平等な立場で決済が可能である」点です。

口座作成審査がなく、送受金を誰の干渉も受けず対等に行える点です。先の「銀行口座を持てない人達」にとって最大のメリットですし、既存金融システムを利用できる人にとっては、そのような今まで電子決済システムを利用できなかった人達と決済できることでメリットを享受できます。

デジタル決済サービスとビットコインの競合

「決済」という分野で見ると、日本円(実体通貨)をデジタル上でやり取りできるサービスは複数存在します。例えば、LINE株式会社が運営する「LINE Pay」では、LINE Pay利用者間であればお金の送受金が可能です。

受け取ったお金を自分の銀行口座に入金することもできます。LINEという非常に多くのユーザーが利用するアプリ運営会社が、デジタル決済サービスを普及させていこうとすると、「キャッシュレスでお金をやり取りできる』というビットコインの優位性はさほどなくなります。

LINE Payでは、「手数料無料」で個人間のお金のやり取りができます。他にも、ソフトバンクが展開するプリペイドVisaカードである「ソフトバンクカード」利用者間でも、同じように手数料なしで個人間のお金のやり取りができます。

全世界共通で利用できる通貨

ただし、中央という運営がいないからこそ、ビットコインは「通貨」という分野で成し遂げていることがあります。それが「全世界共通通貨」です。現在、全世界共通で利用できる通貨は存在しません。法定通貨は国や地域ごとに発行・運営されています。

法定通貨の中で、国際取引などで使用される通貨を国際決済通貨(基軸通貨)と呼びますが、世界で最も普及している基軸通貨である米ドルでさえも、例えば日本国内で使用する場合、利用できる場所はかなり限られます。

ビットコインは「世界中どこでも利用できる」という性質があります。先ほど挙げたLINE Payやソフトバンクカードなどのネット上の決済サービスは、アプリ内でのお金の受け渡しは可能ですがじ通貨同士のみのやり取りに限られます。

つまり、国内限定で利用できるサービスというわけです。法定通貨同士の決済は、為替レートによって変動します。また、外国へ行って手持ちの法定通貨を現地の法定通貨に両替すると、必ず両替手数料を取られます。

つまり、国内でも外国でも区別なく利用できる通貨というのは、ビットコイン(仮想通貨・暗号通貨)しか現時点では存在しないのです。これが、ビットコインのなせる業です。ビットコインと、皆さんが持っている「現金」の問には、このような違いがあるのです。

1ビットコインを海外で利用する

国境をまたいだ決済で力を発揮。ビットコインは、国内ではなく海外とのやり取りにかなり強いと言えます。日本人が海外旅行に出かけた際や、訪日観光客が来日して買い物をする際などに、ビットコイン決済ができるとかなり便利です。

海外旅行をすると、空港などで現地通貨に両替を行いますが、両替の際に必ず手数料を取られます。また、帰国の際に、手元に残った現地通貨の硬貨などの処理に困ったことがある人も多いでしょう。一ヶ国だけならまだしも、複数の国を移動したら、その度に両替をしなくてはなりません。

訪日観光客向けのビットコイン対応。ビックカメラやメガネスーパーのリアル店舗でビットコイン決済が導入された背景には、このような「訪日観光客」をターゲットにした戦略があります。ビックカメラにビットコイン決済サービスを提供するbitFlyer社の発表でも、「海外からの観光客によるビットコイン決済の利用」と明言しています。

時間・手間・費用面において、ビットコインには他の電子決済システムと比べかなりの優位性があります。ビットコインを知りつつ興味がない人は、「国際的な利用シーンにおけるビットコインの素晴らしさ」に気付いていない可能性が多いにあります。

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