Ethereum(イーサリアム)とは
Ethereum(イーサリアム)は、契約・財産を非集権型で取引するためのプロトコルです。
Ethereum(イーサリアム)は、当時19歳だった天才プログラマーVitalik Buterinにより提唱され、今日まで開発が進められているブロックチェーンプロジェクトです。Ethereum(イーサリアム)のベースは、Nick Szaboが1994年に発表したアイデア「Smart Contracts」(スマートコントラクト)をブロックチェーンに取り入れるというものです。
中央集権的なシステムでなく、完全に分権したシステムの上でスマートコントラクトを動かすことができれば、あらゆる契約や商取引、約束、公証サービスを世界中の個人がハードルなしで利用できるようになるとされています。ブロックチェーン技術をお金以外のものに応用した「Smart Contract(スマートコントラクト)」では、中央機関を介さずに契約を自動執行することができます。
仮想Ethereum(イーサリアム)マシンがあり、Ether(イーサー)という通貨を消費すればイーサリアムコントラクト(Ethereum Contract)という、チューリング完全な言語によって記されたプログラムを処理することができます。
ブロックチェーン上に世界中のEthereum採掘者たちが、コンピューターのリソースを提供して作られている分散型の処理マシンです。処理結果は、ブロックチェーン上に記録され、ネットワーク参加者が合意するたった1つの計算結果が得られ、偽造・改ざんは不可能です。
- 概要
- 詳細
イーサリアム[Ethereum](ETH)
通貨単位 | ETH |
暗号化方式 | Ethash |
コンセンサス・アルゴリズム | Proof of Work/Proof of Stake |
発行上限枚数 | 未確定 |
イーサリアム[Ethereum](ETH)の詳細
イーサリアム
ビットコインに続く、時価総額二位
イーサリアム(Ethereum)は、時価総額でビットコインに次ぐ第二位の仮想通貨です。イーサリアムは、2013年にヴィタリック・ブリテンという人物によって設計が始められました。
2014年7月には販売が開始され、2015年頃から日本の仮想通貨取引所でも取引がスタートしています。2014年にスイスで設立された「イーサリアム財団」という非営利団体によって、イーサリアムプロジェクトが調達した資金を管理しています。
イーサリアムの開発は、「ETH DEV」というヴィタリック・ブリテンを始めとする開発者団体によって行われています。ETH DEVの開発者は世界中に存在し、日々イーサリアムの開発を進めています。貢献した開発者には報酬が与えられるため、そのインセンティブもあって開発は活発に行われています。
なお、イーサリアムには開発者チームは存在しますが、ビットコインと同様に中央管理をする組織・団体は存在しません。ビットコインに開発者チームがいるのと同様に、イーサリアムにも開発者チームが存在するだけです。
イーサリアムの特徴
ビットコインと同様に仮想通貨であるイーサリアムですが、その特徴は大きく異なります。ビットコインが「決済システム」を主眼に作られたものであるのに対し、イーサリアムの一番の特徴は「アプリケーション作成のプラットホーム」であることです。
元々、イーサリアムの設計理念が「ブロックチェーンを利用した柔軟なアプリケーション作成プラットホーム」であり、イーサリアムのブロックチェーンを利用することで、誰でもアプリケーションを作成することができます。そのような特徴から、イーサリアムを「世界のコンピュータ(ワールドコンピュータ)」と呼ぶことがあります。
イーサリアムのプラットホーム「EVM(Ethereum Virtual Machine)」はそのような役割を目指しています。ビットコインのブロックチェーンを利用してアプリケーションを作成することも可能ですが、イーサリアムはビットコインよりも柔軟に設計されているため、より幅の広いアプリケーションを作成することが可能です。
イーサリアムはチューリング完全なプラットフォームを目指しています。チューリング完全とは、簡単に言えば「そのプログラミング言語でいろいろなアルゴリズムを利用できること」で、利用用途が限定されているビットコインとは対照的な性質です。
なお、イーサリアムブロックチェーンを利用して作成されたアプリケーションは、イーサリアムの開発者やイーサリアム財団とは全く関係なく運営されます。
イーサリアムの通貨単位「ETH(イーサ)」
イーサリアムの通貨単位は「ETH(イーサ)」です。また、イーサリアムの手数料のことを「Gas(ガス)」と呼びます。手数料は取引や、アプリの稼働の際にも必要です。
Gasの名称の由来は、イーサリアムブロックチェーン上で作成されたアプリを稼働させる際に利用される手数料が、「イーサリアムアプリの燃料」をイメージさせるからです。GasはETHで支払われます。
- ビットコインとイーサリアムの違い
ビットコイン | イーサリアム | |
決済 | 主な用途 | プラットホーム |
BTC | 通貨単位 | ETH |
不明(サトシナカモト) | 考案者 | ヴィタリック・ブリテン |
2009年1月 | 開始年月 | 2014年7月 |
不在 | 管理者 | 不在 |
ビットコインコア | 開発 | ETH DEV |
イーサリアムの機能と脆弱性
イーサリアムは、仮想通貨である一方、アプリケーションプラットホームとしての機能に優れています。イーサリアムは、特定のデータをイーサリアムブロック内に埋め込めるようになっています。これによって、イーサリアムブロックチェーンを利用したアプリケーションの開発ができるようになっています。
このデータ埋め込み部分がイーサリアムの特徴ですが、同時に脆弱性を生み出す原因となっており、イーサリアムは度々攻撃の対象となっています。イーサリアムは過去に、ビットコインよりも多くのシステム修正を行っています。
イーサリアムは、過去に作成されたアプリケーションの脆弱性をつかれた事件があり、その際にやむなくイーサリアムをハードフォークして「ETH」と異なる通貨「ETC(イーサリアムクラシック)」を生み出したことがあります。
スマートコントラクト
イーサリアムが提供する機能に「スマートコントラクト」と呼ばれるものがあります。スマートコントラクトは、簡単に言うと「オンライン上の効率的な合意システム」です。コントラクトは「契約」と言う意味ですが、法的な契約ではないので「合意」としています。
ある条件が合致したら、自動的に履行される仕組みです。イーサリアムでは、スマートコントラクトをブロックチェーン上に作成できます。イーサリアムではブロックチェーン上に「取引と一緒に契約も残してしまえる」ということです。
イーサリアムを利用して「A君がB君に1ETH送金。そして、1年後にB君はA君に2ETHにして返す」という契約を結んだとします。スマートコントラクトは、この契約自体をブロックチェーン上に記録できるのです。
通常このような契約は、今までは契約書を取り交わして、それを証拠として履行を求める必要がありました。もし契約が履行されなければ、契約書を証拠に裁判をおこし、裁判所が判決を出すことで契約の履行を求めることができます。
このような第三者機関に頼れば、必ず費用と時間がかかっていました。それが、スマートコントラクトを利用すれば、最初の取引が成立した時点で不要になるのです。これが、イーサリアムで実現するスマートコントラクトの概要です。
1イーサリアムの今後
イーサリアムを利用したアプリケーションは次々と誕生しています。さらに、多くの団体がイーサリアムを利用したアプリケーションを発表し、ICOで資金集めをするケースが増えています。大企業もイーサリアムを利用したプロジェクト開発を進めていて、今後ますますイーサリアムに注目が集まることが考えられます。
しかし、あくまでイーサリアムは実験段階です。イーサリアムアプリケーションが話題を呼んでも、そのアプリケーションが必ず世に広まるわけではありません。今後そのようなアプリが登場する可能性はありますが、現時点ではまだ、広く世界中に普及するイーサリアムアプリケーションが存在しないのも事実です。