ブロックチェーンの他分野への応用

ダイヤモンドの闇取引を根絶するEverledger、管理者を置くことなくカーシェアが可能なLa’zoozなど、ブロックチェーンは他分野への応用研究が盛んに進行中。

金融以外にも使われているブロックチェーンの応用

金融業界から熱い注目をあつめるブロックチェーンですが、実は金融業界以外からも注目を集めています。たとえばイギリスのEverledger(エバーレッジャー)は、ブロックチェーンをダイモンドの闇取引対策に応用しています。

ハイパーレッジャープロジェクトのブロックチェーンを用いてダイヤモンドの流れを鉱山から消費者まで追跡し、認定書や取引の履歴の記録などに役立てています。同社ではトレーサビリティ性(追跡可能性)の向上を図り、購入者が安心して購入できるというこのしくみを、ワインボトルヘと対象を広げ応用しています。

また、La’Zooz(ラズーズ)というプロジェクトは、ブロックチェーンを使ってライドシェアサービスのUberのようなシェアリングサービスの構築を目指すものです。このサービスの実現はまだまだ先という声もありますが、仮に実現すれば中央に管理者を設けないまったく新しい形のシェアリングエコノミーが生まれることになります。

そのほかのIoT分野への応用も試みられています。IoT(Internet of Things) とは、さまざまな機器をインターネットで接続するという考え方で、「モノのインターネット」と呼ばれており、上記の2例も含まれます。

ここにブロックチェーンを用いてシステムを運用しようという考えです。たとえば、冷蔵庫の中身を自動で認識し、いつも買っている食材が切れていた場合、冷蔵庫が自らスーパーマーケットに食材を注文し、自動で決済まで済ましてしまうことが可能になるかもしれません。

ブロックチェーンの広がり、社会のしくみを変える?

ビットコインは中央銀行へのアンチテーゼから誕生したと言われています。日本にいると実感しませんが、世界には自国の通貨が強くない国はたくさん存在します。たとえば、ジンバブエでは100兆ジンバブエドル札が発行されるほどのハイパーインフレに見舞われました。

ほかにもアルゼンチンではデフォルトが繰り返され、中国人民元も決して信頼されているとは言えず資本流出は深刻です。「通貨の信用=国の信用」という常識の外にあるビットコインが台頭したことによって、今後はブロックチェーンを用いた新しいしくみが、通貨のあり方そのものをひっくり返す可能性があります。

また、ブロックチェーンは、組織のあり方も一変させてしまうかもしれません。ブロックチェーンを応用した重要な技術として「スマートコントラクト」があります。スマートコントラクトとは、デジタルに表現された資産をあらかじめ定められた条件に従って自動的に移転させるしくみです。

たとえば、仮想通貨を受け取る際に「この同意があれば執行する」という条件を付け、それをクリアすれば自動的に実行されるようなプログラムを記述するなど、より複雑な条件を付けることも可能です。これによって人間が介在しなくても、プログラムに則りさまざまな契約を自動的に執行することができます。

これを「価値」の移転にとどまらず、組織や会社などの運営にも応用していこうという動きもあります。将来的には、組織や会社を人間が管理するのではなく、人間がプログラム(ルールやプロトコル)のエージェントとして働く組織となる時代が来るのかもしれません。

多くのシェアリングビジネスを仲介者なしに安全に運営

空き部屋を仲介する「Airbnb」や、車のライドシェア(相乗り)を行う「Uber」など、余剰資源を有効活用するシェアリングサービスが注目され始めています。こういったサービスにもブロックチェーン技術を応用しようとする動きがあります。

たとえば、「La’Zooz(ラズーズ)」という構想があります。これは「分散型のUber」を目指すサービスです。運営は管理者ではなくプログラム(プロトコル)によって行い、手数料の発生をなくすことを目指します。

ライドシェアのサービスを受けるには、「Zooz」というコイン(トークン)を使うことを検討しています。一方、ライドシェアのサービスを提供する車の保有者には、プログラム(プロトコル)からZoozが報酬として支払われるようにします。

「Storj(ストレージ)」は、分散型のクラウドストレージサービス構想です。クラウドストレージとは、インターネット上でデータを保管できるサービスで、「Dropbox」などが有名です。ブロックチェーンを利用したこのサービスを使うと、ユーザーはほかのユーザーのハードドライブの空き容量を利用してデータを保存することが可能になるという構想です。

また、ほかのユーザーに自分のハードドライブの空き容量を提供すれば「SJCX」というコイン(トークン)を受け取ることができます。Storjに保存されるファイルは暗号化され、ファイルの保有者のみがカギを持っているので、Dropboxなどの中央集権型のクラウドストレージサービスよりもよりセキュリティが強固であり、かつ安価で利用できるとしています。

音楽業界でも注目されているブロックチェーン技術

ブロックチェーンは音楽業界でも注目を集めています。たとえば、「Uproov」というアプリでは、ブロックチェーンを利用して著作権の認証を行います。「Uproov」を通して投稿された画像や映像はブロックチェーンでプロトコルとして記録されるため、オリジナルデータに少しでも手が加えられたり、無断で転用されても、オリジナリティの証拠が残るので証明が可能になります。

また「dotBC」では、音楽ファイルの中に権利者や権利者間の収益配分などの情報をすべて埋め込み、中央の管理者を介さずにすべて完結させています。これは音楽クラウドファンディング「PledgeMusic」創業者のベンジー・ロジャース氏により開発されたもので、すでに2016年8月にα版がリリースされています。

dotBCでは、「MVD(Minimum Viable Data)」と呼ばれるメタデータを音楽ファイルに埋め込みます。MVDには作曲者、演奏者などの権利関係と、その対価の分配比率などの条件が「プラグイン」と呼ぶ形式で追加されています。

これによって、音楽がダウンロードで購入されたときや、TVやラジオで放送されたときなどのタイミングで、権利者への対価が自動で計算され、自動で支払いまで行われます。このようにブロックチェーン技術を使うことによって、デジタルデータにおける課題であった著作権の移転の問題や、使用料の問題の解決に大きく寄与できる可能性を秘めています。

電力の個人間取引も可能にするブロックチェーン

ブロックチェーン技術を電力取引に応用する試みも行われています。これにより、自宅のソーラーパネルで発電した電力をほかの家庭に直接販売することが可能になります。2016年4月、アメリカでイーサリアムのブロックチェーンを使用した電力販売の個人間取引が行われました。

これがブロックチェーンを用いた世界初の有料の電力取引となりました。この取引は、グリーンエネルギーのスタートアップ企業LO3と、分散型アプリケーションのスタートアップ企業ConsenSysが共同で取り組んでいます。

プロジェクト名は「TransActive Grid(トランスアクティブグリッド)」です。電力会社を含め、発電されたすべての電力はイーサリアムのブロックチェーン上で集計されて記録されています。

そして、スマートコントラクトによってたとえば、自分の家で発電した電力をP2Pでほかの家庭に直接に販売することも可能です。従来、自分の家で発電して余った電力は、電力会社が卸売価格で買い戻していましたが、この仕組みによって、電力をオープンな市場で直接販売することもできるようになります。

これは電力を売る側にとっては高く売ることができ、買う側にとっても従来より安価に購入でき、双方にメリットがあるウインウインの関係を構築できます。日本では、2016年4月から電力自由化によって電気会社を自由に選べるようになりました。

今後、日本でもこういった仕組みが導入され、電力のあり方さえブロックチェーンが変えてしまう日が近いかもしれません。

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