「マイナー」がコンピューターでビットコインを発掘するマイニング
ビットコインはどのように生み出されるのでしょう? コンピューターでビットコインを発掘する「マイナー」と呼ばれる人たちについて説明します。
ビットコインは報酬として発行される
法定通貨の供給は中央銀行などの金融機関の特権であり、新規通貨の発行権などが一任されています。通貨は偽造などの不正を防ぐために非常に精巧に作られています。
ただし、中央銀行などの発行母体側の不正を監視する機関はないため、不正の発見をすることは困難です。つまり、私たちが日ごろ使っている通貨は、中央銀行を信用することで成り立っています。
これに対して、ビットコインはオープンソースのプログラムによって供給量が自動的に制御され、整合性を保つように設計されています。ビットコインの供給は、取引ごとに履歴として追加される暗号を解いた人に、報酬として提供されます。
レッスン○でビットコインの入手方法を簡単に紹介しましたが、暗号を解く作業を、鉱山で金を発掘することに例えてマイニングと呼びます。また、暗号を解くためにコンピューターを駆使する人をマイナーと呼びます。ビツトコインの発行は、このマイニングによってのみ行われます。
ビットコインの新規発行はマイニングの報酬
ビツトコインが供給される仕組みについて、もう少し詳しく見ていきましょう。ビットコインの供給は「プルーフオブワーク」と呼ばれるマイニングアルゴリズムによって管理されています。
マイナーはプルーフオブワークを行うことで取引を承認し、その成功報酬として新規発行のビットコインを受け取ることができます。マイナーはプルーフオブワークに成功すると、成功したことをネットワークに知らせます。
すべてのネットワーク参加者はこの検証が正しかったのかを調べ、この取引を認証することで初めてネットワーク上にこの取引の存在が証明されます。証明された取引は新たなブロックとしてビットコインの歴代取引が連なったチエーンに追加されます。
このブロックのチェーンが数珠つなぎに連なっていることから、この仕組みを「ブロックチェーン」と呼んでいます。ちなみに、マイナーが得られる報酬は下記のように決まっています。
●1回当たりの成功報酬
時期 | 1ブロック当たりのマイニング報酬 |
2009年(スタート時) | 50BTC |
2013年 | 25BTC |
2016年 | 12.5BTC |
2020年 | 6.25BTC |
2024年 | 3.125BTC |
・・・ | ・・・ |
2141年 | なし |
1中央集権VS非中央集権
ビットコインは、中央銀行のような中央集権的なお金に対するアンチテーゼともいえます。ビットコインのネットワークは、参加者が相互に監視し合う非中央集権システムによってセキュリティが保たれることを証明しています。
2マイニングには膨大な電力を使う
マイニングはスーパーコンピューターに匹敵する計算を行います。膨大な電力が必要となるため、マイニングを事業として行っているマイナーの多くは、電気代が安い地域に拠点を設けています。
3マイニング作業は専用のハードウェアで行われる
ビットコインのプルーフオブワークはひたすら暗号を計算する作業であり、コンピューターの計算力に左右されます。コンピューターの性能が高いほどマイニングの成功率は高くなるため、マイナーは巨大なシステムを構築して競争に挑みます。現在はビットコインのマイニングに特化した「ASICハードウェア」が主流で使用されています。
4マイニングの仕組みはネットワークも守る
ビットコインのルールは参加者の合意によって決まりますが、悪意のあるマイナーの団体がネットワークの51%を占めた場合でも、システムを攻撃する可能性は低いと考えられています。ネットワークに対する割合が高いマイナー団体は、それだけマイニングに成功する可能性も高まります。正規にマイニングを続行した方が攻撃を仕掛けるより予測利益が高くなるためです。
取引手数料もマイナーへの報酬になる
マイニングには成功報酬のビットコインとは別にユーザーが支払う送金手数料も含まれます。ビットコインがすべてマイニングされた後はこの送金手数料のみがマイナーの収入源となります。マイニングをするにはプルーフオブワークを行うハードウェアとそれを動かすための電気代がコストになります。最低でもこのコストに見合う収益が得られない場合、マイナーはマイニングを続けることが困難になります。